Dreaming Is Living

LA在住の音楽ライターが夢実現のヒントを綴ります

メーガン・トレイナー

 アメリカ時間5月17日の夕方、ビルボード・ミュージック・アウォードの授賞式がラスベガスで開催されました。

 音楽業界の人達が選ぶグラミーと違ってビルボード・ミュージック・アウォードはセールスと、ダウンロード数、ラジオのオンエア回数で決まるので、大半の賞ががシングル「シェイク・イット・オフ」、アルバム『1989』共に大ヒットしたテイラースイフトにいくことは、視聴者だけでなく出席者達にも予想できていました。でも、「ザ・ホット100ソング」という「全米ナンバー1ソング」の部門で、自分では全く予想していなかったらしいアーティストが受賞しました。メーガン・トレイナーです。受賞曲の「オール・アバウト・ザット・ベース」は、日本でも人気になりましたよね。


Meghan Trainor - All About That Bass - YouTube


  メーガンの受賞スピーチは、初々しくて素敵でした。
「オーマイゴッド! こんなことが起こるなんて思ってなかったわ。最高だわ! どうもありがとう。赤ちゃんの頃から、私の力を信じてくれたママとパパ、ありがとう。この曲を信じてくれたマネージメントの人達、ありがとう。私はやっと、自分を愛することを学んだところなの。この曲が効果を発揮していて嬉しいわ」

 

 「私はおっきなお尻が魅力なのっ!」と歌う「オール・アバウト・ザット・ベース」は、メーガンが「自信のなさが理由」で書いた曲だったそうです。意外にも書いた時は、ハッタリだったんですね。でもコンプレックスの部分をあえて魅力だと言い放ったこのポジティブな曲が大ヒットしたことで、18歳からプロのソングライターとして他のアーティストにヒット曲を提供していたメーガンは、初めてシンガーのメーガン・トレイナーとして、瞬く間に世界的に有名になりました。そして、この曲をファンの前で歌って大歓声を受けることで、本当にこの曲の通り、自分の体型を受け入れられるようになったそうです。毎日毎日歌っていて、それを観客が大合唱してバックアップしてくれていたら、いつの間にか本当にそういう気分になっていたのでしょう。この曲を通して、メーガンは「自分を愛することを学んだ」のですが、この曲は、必ずしも体型についての歌ではありません。「ザット・ベース」の部分に自分の自信のないところ、コンプレックスの部分をあてはめて、替え歌にしてみると分かりやすくなるかもしれませんが、「私はこれが売りなの!」という完全自己肯定の歌なのです。

 去年この曲が一年中かかりまくったことは、世の中のあらゆる年齢の女性達に本当にすごくいい影響を与えてくれたと思います。今よりもっとカワイイ自分、もっと素敵な自分になろうと自分を磨くことも大切だけれど、そもそもその自分を愛していなかったら、磨いても磨いても自信は沸いてこないかもしれない。

 自分に自信を持つ第一歩は、まず自分の全てをまるごと愛することなんだろうな、と「オール・アバウト・ザット・ベース」を聞いていると元気が出てきます。

 

 メーガンは「オール・アバウト・ザット・ベース」の後、「リップス・アー・ムーヴィング」、「ディア・フューチャー・ハズバンド」と、次々にシングルヒットを出していますが、どのヒット曲も全部彼女が書いた曲。書く曲が個性的で飛び抜けて優れているだけでなく、驚異的な歌唱力に支えられた個性的なヴォーカルも、デビュー・アルバム『タイトル』がアメリカやイギリスで1位になった理由だと思います。ロサンゼルスでのライヴを観て、CDの3倍ぐらいの声量と表現力に圧倒されました。踊りもキュートで、メーガンのユーモアあふれる小話を交えたエンターテイメント性の高いショウなので、まさに老若男女に絶賛されていました。

 新たな自信で輝いているメーガン・トレイナーは、どんどんその魅力を広めていきそうです。


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