シェール
それを言われてしまったら、もう聞くことないです。
取材中、そう思う答えがあります。
でも多くのスターは、大物であればあるほど、「成功した秘訣」を聞かれると同じことを言うのです。
「私はただ、ラッキーだった」
この答えを聞いて私が一番驚いたのは、ハリウッド女優としても成功しているシェールです。
シェールは2013年の9月に、なんと12年ぶりの新作『クローサー・トゥ・ザ・トゥルース』を発表。
日本盤の発売前にTV取材の通訳をしたのですが、
当時60代後半のシェールは、美しい顔に栄える鮮やかなオレンジ色のロングヘアーで、大スターのオーラで輝いていました。
セクシーで貫禄満点のディーバを勝手にイメージしていたのですが、
独特の優しい雰囲気を持った人で、時折少女のような愛らしい面も見せてくれて、私の緊張を解いてくれました。
取材当時、60年代から2000年代までコンスタントにトップ5入りするアルバムを発表してきたのは、全世界で彼女ただ一人。
その長く巨大な成功の秘訣を、シェールは
「全然、分からないのよ。本当に、ラッキーだったんだと思うわ。ある程度才能も必要だろうけれど、それ以上に運よ」
と言い切りました。
いやいや、あなたのラッキーはとんでもないレベルのラッキーですね!
でも彼女は、心からそう思っているのです。
そして、『クローサー・トゥ・ザ・トゥルース』は全米アルバムチャート初登場3位を達成。彼女は2010年代にもアルバムをトップ5入りさせて、誰にも手の届かない自己の記録を更新しました。
かつての私は、「幸運だったから」という答えを聞く度に、
「自分の力だけでは達成できなかったと謙遜しているのだな、いい人だ」と解釈していたのですが、いつしか、
謙遜ではなくて、本当に幸運だと思っている
そして実際に、その人はとても幸運に恵まれている
ということに気づきました。
シェールは華々しいばかりの人生を歩んで来た人ではないんですよ。子供の頃からありえないほど波瀾万丈でした。そして、ありえないほど幸運だったのです。
冒頭の写真は、2014年夏のロサンゼルス公演時のもの。18000人収容のステープルズ・センターが何世代にも渡るファンで満杯でした。
シェールの声とパフォーマンスは人間国宝級なので、近々日本の地でショウをやっていただけることを願っています。
運というのは、目に見えない不確かなもの。
でも、面白いことに、「運がいい」という概念は、世界中の人々に通用します。
目に見えないから、運の良し悪しは、起こっていることに目を向けた自分が判断して決めている。
それを思うと、考え方次第で、誰でも「ラッキーな人」になれそうですね。
Dreaming is Living!
Have a LUCKY weekend!