Dreaming Is Living

LA在住の音楽ライターが夢実現のヒントを綴ります

ジェイムス・ベイ

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 ここ数年、私の夢の一つになっていることがあります。

アメリカの音楽シーンでもっとロックが盛り上がりを見せて欲しい!
 私はアメリカントップ40が大好きでアメリカに移住したわけですが、
トップ40の中でも80年代を過ごした思春期に一番影響を受けたのがロックだったんです。プリンス、エアロスミスモトリークルーが私の中では御三家。
ロックに受けた衝撃っていうのは、他のどのジャンルにもないものだったし、当時のロックって本当に衝撃的な音楽だった。
 だからといってギターの音にすごくはまったりということはなくて、曲を聴く時はヴォーカルを中心に聞いてるんだけど、でもロックってやっぱりギターがあってなんぼの音楽。

 そのロックが2000年代に入ってから、ほとんどアメリカのラジオで流れなくなってしまったんですね。そのせいで売れてるロックバンドまで、ギターのサウンドを抑えた不自然なロックを作るようになってしまった。
それはヒップホップがロックを超えてポップスと肩を並べるメジャーな音楽になったことと、そのヒップホップに対抗するように盛り上がりを見せた新しいポップスがEDMであったこととも関係してるんだけど
とにかく「ロックは売れない」というアイディアがいつのまにか既成事実になってしまって新しいロックバンドやロック系のアーティストが出て来れなくなってしまった。
特にアメリカはもうここ10年位そういう音楽シーンの中にいる。

 でも去年位からその流れが変わって来ていて、ギターを軸にしたロックが段々人気を取り戻して来ているんです。それはアメリカから起こったんじゃなくて、イギリス、あるいはヨーロッパから来ている流れ。
ギター一本でアリーナ/スタジアムを完売にしてしまうグラミー賞受賞アーティストの
エド・シーランの成功もこの流れに追い風をかけていると思うけれど、
去年イギリスから大物ロック・スターになれる真打ちが登場したのです。

それが、ジェイムス・ベイ。

作夏、アップルミュージックのCMに「ホールド・バック・ザ・リヴァー」という曲と共に登場して話題になったジェイムスですが、今年2月、ついにデビュー・アルバム『カオス&ザ・カーム』が日本でも発表されました。
ジェイムスは3月頭に初来日公演を終えて、夏はサマーソニックへの出演も決定、
さらに人気が高まっているところではないかと思います。
このアルバムはもともと2015年の3月に欧米で発表されていて、イギリスでは初登場一位を獲得。
アメリカは一足遅れていましたが、夏以降にラジオでシングルの「レット・イット・ゴー」がヒットするにつれて人気がじわじわと浸透、
12月に行われたツアーのロサンゼルス公演(写真)は、完売で大盛況でした。
 ファン層は、25歳のジェイムスと同年代のオシャレな男女。バーバリーのモデルにも抜擢された端正な顔立ちの英国青年ジェイムスと彼の曲のイメージがオシャレだからこういう層を惹き付けるのだろうけれど実際の彼はブルース・スプリングスティーンローリング・ストーンズに影響されているだけあって、「ロックンローーール!!」なノリ。観客に叫ばせたり歌わせたり、やたらと熱いロックなショウで、興奮しっぱなしでした。

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 去年の9月末に電話取材をさせていただいたのですが(『インロック』2015年11月号掲載)、11歳の時にギター好きのお父さんにデレク・アンド・ザ・ドミノス(エリック・クラプトンの所属していたバンド)の「いとしのレイラ」を聞かされてぶっとばされ、「これだ! 自分もこれがやりたい!」と、ギターを独学で弾き始めたのが始まりだと聞いて、ギタリストとしてすごく優秀なのも納得。
 ロックが全盛だった頃は、ロックスター、特にギタリストのかっこ良さに憧れてバンドを始めるギターキッズが沢山いて、彼らが新しいバンドとしてシーンに出て来てさらにロックを活性化させていたのだけれど、ジェイムスの年代、20代の若者達はもうエリック・クラプトンなんて知らないのが当たり前。
でもお父さんのおかげで、ジェイムスはギターキッズになったのです。
そして今、このかっこいいジェイムス・ベイが世界的に人気になることで、
彼に影響されたギターキッズがきっと沢山出てくるはず!そしてロックは再熱する!! と私は思っているのです。
 とはいえ、彼はマイケル・ジャクソンやアデルも好きで、お母さんが好きだったモータウンの曲もよく聴いていたそう。だからギター・ロック一直線ではない柔らかさや素敵な雰囲気も持ち合わせていて、それがロックを聴いたことのない女子にもはまるのではないかなと思います。

今年のグラミー賞ではトリ・ケリーと素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた彼。
受賞は逃したものの、3部門でノミネートされたことについての感想を
レッドカーペットで次のように語っていました。
「ノミネートされたのを知ったのは、アビースタジオでのリハーサルに行く車の中だったんだ。初めてのオーケストラと一緒のリハで特別な時間だったんだけど、
その後別の場所にロンドンを移動する間にツイッターでノミネーションをチェックをして知ったんだ。その日がノミネーション発表日だって知らなくて、1部門は気づいたんだけど、「あと2部門でも受賞されてるよ」って言われて。
ドライバーが座席の下にビールを隠してたから、これは便利と祝ったよ!」

 

そんなジェイムス・ベイの夢。
永遠に音楽をやり続けること。みんなが大好きになってくれて、共感してくれる素晴らしい音楽を作り続けて、その音楽を世界中でプレイしたい。日本でも、他の国々でも、永遠にね

 終わりのない、素敵な夢ですね。私もシニアになっても彼のライヴで一緒に叫びたいです。

 

こちらは先日アメリカで100万枚のセールスを突破したプラチナム・シングル「レット・イット・ゴー」のPV。
もし気に入ったら『カオス&ザ・カーム』もアルバムを通して聴いてみて下さい! 


James Bay - Let It Go

 

Dreaming is Living!

東京はちょうどお花見の時期のようで、羨ましいですー!

Have a wonderful sunday!