私は大丈夫です、ありがとう
前回の記事でクリス・コーネルのことを書いた時に、
クリスが亡くなった悲しみを少し和らげてくれたのは
リンキン・パークのチェスター・ベニントンだったことに触れました。
チェスターの悲しみは、私の悲しみの何百倍も大きかったはずだけれど、
「悲しいのは、ショックを受けてるのは自分だけじゃない」
それを感じさせてくれたのが、クリスと同じ位、私に影響を与えてくれた
チェスターだった。
そして私は、「大丈夫、私達にはチェスターがいてくれる。私はチェスターと一緒に
年を取って行ける」。そう思うことで、大分救われたんです。
まさかチェスターが、2ヶ月後にこの世を去ってしまうなんて、微塵も思うことなく。
親友があんな去り方をしたら、普通の生活を続けて行くことなんて
ほぼ無理じゃないかと思うのに、毎日プロモーションして、
ヨーロッパ・ツアーにも出て、元気そうにしているチェスターの姿を見ながら
その安心を積み重ねて、自分にも「大丈夫、私は大丈夫」と言い聞かせていたんです。
それには私なりの根拠もあって、
今年3月にチェスターとフェニックスのスペースシャワーさんの取材で通訳をした時に、
チェスターが「過去数年、人生で一番落ち込んでいたんだけど、このアルバムの制作中に、自分の中にあったものを皆に全部吐き出して、今の僕は最高の気分なんだよ。
僕はもう、何も重いものを背負っていないんだ」と、満面の笑顔で語ってくれたからでした。
チェスターは大丈夫。今のチェスターなら大丈夫。
私はそう思って、疑わなかった。
彼は、元気すぎるぐらい元気だったから。
私は自分の取材だけでなくて、通訳としても何度も彼に取材していたので
気づいたのだけれど、チェスターは誰に対しても、全く同じように、
完全にオープンになって正直に話す人で、話に全くフィルターをかけない素直な人でした。
だから、あの時言っていた言葉も、本当に本心だった。
クリスが生きていたら、彼は生きていたと思う。
直接会っていた私は、何か出来たんじゃないか。
ファンレターとか、渡しておいたら何か違ったんじゃないだろうか。
そんな馬鹿げたことを何度も何度も考えて、
リンキンパークの新曲「ヘヴィ」と全く同じ状態が続く夏でした。
でも、私は大丈夫です。
親友がすごく心配してくれた。
気を使って旅行にも誘ってくれた。
みんなにすごく感謝しています。
そして、私のブログの数少ない読者さん達も、
私がクリスの記事を最後にまた沈黙してしまったので
もしかしたら気になってしまっているかもと思って、
今日これを書いています。
私のブログを読んでくれて、ありがとう。
友達や家族でなくても、自分にとってものすごく大切な人はいるものです。
音楽ファンだったら、この気持ち分ると思う。
親も友達も自分のこと全く分ってくれないと思っていた時に、
一つの曲が、自分の親友になってくれることって、あると思う。
だから私は音楽が好きだし、
もうやめちゃいたいなとちょっと思ったけれど、
この仕事をおばあちゃんになるまで、続けて行きたいなと思う。
本当に、ありがとう♡
写真は、8月にロサンゼルスのダウンタウンの市庁舎前で行われた
ファン主宰の追悼会の模様です。プリンスと同じ場所でした。
なぜ2年続けて、同じ場所でヒーローを見送らなきゃいけないんだろうって思った。
なぜ、なぜ、なぜ……
そこに答えなんかないんだよね。
明らかなのは、わたしたちはそれでも、今日を生きているということ。
そしてまだ、夢を見続けていられるということ。
辛くてたまらない時に、あなたのことを気にしてくれている誰かがいるということ。
それはとても、有り難いことだよね。