ルーカス・グラハム
まだプリンスがこの世界にいないということになじめずに、
なんとなく日々をやりすごしているのだけれど
どうしても4月中に紹介しておきたかった新人の記事を書こうと思う。
ルーカス・グラハム。
北欧デンマークですでにトップクラスのスターになっている新バンドだ。
その人気がデンマークからヨーロッパに飛び火し、
昨年冬頃からアメリカでも「7イヤーズ」というシングル曲がラジオでヒットを始め、
ついに今年の4月、世界デビュー。
4月20日、日本でもアルバム『ルーカス・グラハム』が発表になった。
このアルバムは全英チャート2位、全米チャート3位を記録している。
まず、この曲聞いて下さい。
Lukas Graham - 7 Years [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
これではまらない人は他の曲にもはまらないかもしれないけれど、
アルバムの音楽性はこういうしっとりとした曲だけでなく、
パーティ・ソングから一緒に大合唱できる曲まで実に様々で、
そのどれもが信じられないほど素晴らしい。
そしてサウンドだけでも充分に驚異的なのに、
このバンドの魅力はルーカスの歌詞を読むとさらに倍増します。
「僕が7歳だった頃…」と始まる「7イヤーズ」は、
このバンドのマネージャー的な存在だったルーカスの父親が61歳で亡くなってしまい、
その悲しみからルーカスが暴飲暴食の生活になってツアー中止にまで至った経験を乗り越えた後
レコーディング・スタジオに入って初めて書いた曲。
だから途中で「僕もいつか60歳になる」という歌詞が出て来るのです。
この曲に限らず、アルバム『ルーカス・グラハム』の大半の曲が、
ルーカスのお父さんとの別れにインスパイアされて誕生しています。
そこで繰り返し伝えられるメッセージは
家族がいかに大切なものであるか
ということ。
アルバムの曲を聴いていると
彼がどんなに愛に溢れた家庭で育ったかが伝わってきて胸が熱くなると同時に、
このまっすぐで純粋な気持ちを綴ったメッセージが、
今、彼らの音楽が世界中の人達に愛されている理由の一つなのだろうとも思います。
デンマークの少年合唱団に所属していていたルーカスのいまだに少年のような美しい歌声とヒップホップに影響を受けたリズミカルでユニークな歌詞、
そして子供の頃から音楽をやっているベーシスト、ドラマー、キーボーディストの3人が繰り出す最高に気持ちのいいバンドサウンド。
はっきり言って、彼ら今年の一押しです。
というかここ数年の間に出て来た新人の中で、一番凄いポップ・ミュージックをやっていると思う。革新的と言ってもいいぐらい。
ルックスは正直垢抜けてないし、アイドルっぽくないのだけれど、
本国ではコンサート会場の前の方を埋め尽くしているのは10代前半のキッズだそう。
先日サンフランシスコで取材をしてコンサートを観て来たのですが、ライヴも桁外れに上手く、
ラストはあまりの素晴らしさに涙しました。
地元コペンハーゲンでは2件のレストランを共同経営し、母親に家を買ってあげて、
「もう買いたいものなんかないんだ」と言えるほど成功しているルーカス。
このバンドで叶えたい夢は?
「一番のゴールは物語を伝えることだと思う。目標についてはバンドで沢山話し合ってるんだ。
結局、大事なのはナンバー1ソングでも何かの賞でも金や名声でもなくて、人々の前でパフォーマンスをすることなんだ。そこで得られる喜び、人々と繋がる感覚は、とにかく驚異的なんだよ。言葉では説明できないくらいね」
博識なルーカスは日本についてもすでに色々知っていましたが、日本でショウをやることも今の夢だそうで、「ずっと生きたいと思ってた国に、仕事で行けることになるなんて最高だよね! 本当に早く行きたいんだ!」とかなり興奮気味に語ってくれました。近々来日公演が実現することを願っています。
ちなみにやたらと熱いCD解説を書きましたので、気に入ったら日本盤の『ルーカス・グラハム』を購入していただけると嬉しいです!
歌詞が肝なので、英語の歌詞と対訳を照らし合わせつつじっくり味わって欲しい超名盤です。
Dreaming is Living!
Enjoy your Golden Week!!